あのとき、あの味

「食」がある風景を描くエッセイ

うちでカフェれる、良い時代

連休の中日、
ハロウィン直後から始まったクリスマス商戦も
いよいよ大詰め、
すぐに年末だ。

きらめくイルミネーションが
余計に街と人の高揚感を煽る。
人の数もいつもの1.5倍くらいに思えて
深呼吸しなければ
到底溶け込めそうにない気がしてしまう。

自分とその周りの
スピード感の違いによる摩擦がひどい。
私の場合、
師走の疲れはただ忙しいだけでなく
この摩擦のヒリヒリが大いに関係している。

すっぴん顔に流れかかる前髪を
てっぺんでちょんまげに括り、
パジャマ姿のまま過ごす日を
一週間に一回つくること。
こころのヒリヒリに対して
私がつくった処方箋。

こういう日は料理もしない。
テレビをずっと眺めてても良いし
実用書ではない、現実と離れた小説を読んでも良い。

コーヒー豆もうちで挽けば
それなりのコーヒーが飲める。
コンビニのフォンダンショコラ
最近は捨てたもんじゃない。

体温に似た温度の
とろとろのチョコレートソースの滑らかさを
口の中で感じながら
窓の外、階下の人や車の流れを眺める。
窓が、あっちの世界とこっちの世界の
時間の流れを隔ててくれている安心感。
今日はここでゆっくりしても良いよ。
そう言ってもらえているみたいな気持ち。

こういう時間を肯定的に受け止めることも
時には大切だと思うのだ。

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