あのとき、あの味

「食」がある風景を描くエッセイ

2018-01-01から1年間の記事一覧

タイムスリップ・ココア

世の中の大半が仕事納めをしたであろうに積み残しがあり渋谷で仕事だ。0.5日分、後ろ倒しになった仕事納めだったが帰り道、近くを通ったので久しぶりに立ち寄ろうと思う場所があった。名曲喫茶ライオン。道玄坂の途中、華やかな街の雰囲気の中に隠れてラブホ…

うちでカフェれる、良い時代

連休の中日、ハロウィン直後から始まったクリスマス商戦もいよいよ大詰め、すぐに年末だ。きらめくイルミネーションが余計に街と人の高揚感を煽る。人の数もいつもの1.5倍くらいに思えて深呼吸しなければ到底溶け込めそうにない気がしてしまう。自分とその周…

カップのフチ夫くん?

週に二回、出勤前に立ち寄るスペシャリテイコーヒー店では、注文した一杯を飲むカップを選ぶことができる。カウンターの棚に陳列された様々な柄、色を配したカップ。スマートなフォルムの洋風陶器、ごつごつ、ぽってりとした日本の焼き物、いろんな表情のカ…

エア居酒屋で、朝食を

30代にもなると、学生時代の友人と定期的に会う機会は貴重だ。普段被っている、仕事人間という殻を破り、胸いっぱいに息を吸って会話ができる感覚は、最近減っているような気がする。3ヶ月に一度くらいは会う友人で、今回は表参道で朝食を取ることにした…

母のにんじんサンド

取れずじまいだった夏休みの休暇。実家で過ごす最終日、母がアルバイトをしているパン屋に久しぶりに立ち寄ることにした。母を入れて3人で回している小さなパン屋。週に3日しか開かない。開店日は、この街にはここにしかパン屋がないのだろうかというくら…

朝のあんぱん

今朝は、いつもより早く出社した。昨晩、担当しているイベントの運営に関する打ち合わせで上司と考えが合わず、そこから話が進まなかったのだ。言葉少なく、表情がないためにとても冷たい印象の上司、長尾さんは、社内で最も仕事ができる人物だ。私は、思っ…

ご褒ビチェリン

思ったより残業が短く済んだ週末。月末で繁忙も一区切り、帰宅前に一息つこうと駅前に出来たイタリアの老舗カフェ「ビチェリン」に立ち寄った。それなりの高級店だという前情報があったため、普段着のチュニックなどで行ってはいけないと考えていて、職場帰…