あのとき、あの味

「食」がある風景を描くエッセイ

一富士二鷹、三甘味

必要なものの買い出しは、大晦日の昨日、お昼までに済ませた。元旦は外出はせず、家でゆっくり過ごしたい。

そう思っていたが、昼食が済んでしばらくすると、甘いものが食べたくなった。母に何かないか尋ねてみると、じゃあ栗蒸し羊かんでも買いに行こうということになり、我が家お決まりの和菓子屋へ向かった。小さな和菓子屋で、ありがたいことに元旦営業をしているとのこと。10月終わりから期間限定で販売している栗蒸し羊かんは、この時期に実家に帰るときの楽しみの1つで、正月が終わるとともに販売が終わってしまう。店に着くとラスト二本!母が「一本は帰ったら食べて、もう一本はあんたの家に持って帰りなさい。」とお買い上げ。

ふとレジ横で目に付いた三色団子にも心奪われた。「お母さん、これも久しぶりだね。二人で食べようよ。」この三色団子も、母と私の大好物なのだ。

黄・白・緑の三色団子。いわゆる花見シーズンに食べるものとは少し違っている。何より、団子1つ1つの芸が細かい。それぞれ胡桃餡、黒ごま餡、粒餡が入っている。私は3つ目の緑の蓬団子がお気に入り。田舎の小さな和菓子屋の、素朴さとともにオリジナリテイを感じ、敬意を払いたくなる。

「私は3つ目の緑の草団子が好きだな。」「黄色の団子の胡桃餡が絶妙だよね。」これを食べるといつも展開される、母との会話も恒例だ。淹れたての温かな緑茶の香りがふわりと立ち込め、家でのゆっくりとした時間がより味わい深いものになる。

初夢は記憶にないが、今じゅうぶん夢見心地だ。ああ、栗蒸し羊かんはいつ食べようか。


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